平田オリザさん「わかりあえないことから」発売記念講演会に行ったときのメモを共有します

今年の3月になりますが、
心斎橋のスタンダードブックストアで行われた
平田オリザさんに講演会に行ってきました。
備忘録がわりにメモを書いてきましたので ここで共有したいと思います。


日本語の特徴

主語の省略
主語がないから主体性がない。
主語がないのに通じるのは何故?→助詞・助動詞の動き

コミュニケーション能力
時代文化民族によって能力の違いがある。
→非科学的な言説

日本語には人称変化がない
敬語や助詞・助動詞で人称を区別する。
1人称:参ります 2人称:いらっしゃいます 3人称:行かせます

話し言葉の変化
名詞・動詞
変化が少ない。あるいは外来語による補強
助詞・助動詞
変化が激しい、寿命は200~600年(表意語句)
↑劇作家にとっては問題

助動詞の「べし」の意味
推量・意志・可能・当然・命令・適当(「すいかとめてよ」と覚える)
今使われている古文の助動詞はない ・意味がたくさんあると曖昧になる。
よく知っている人が書いた文章になると、曖昧でも理解出来る。
日本人だけど友達じゃないからわからない。

近代日本語の生成過程は、
助詞・助動詞の整理統合の過程と言ってもいいのではないか?
このことによって日本語は一定程度の論理性を獲得していった。

ラブレターも哲学も知らない人も読めるように
ニュアンスが削ぎ落ちるので助詞が作られてきた。
変化の過程がきにあり不快に思う。

・ら抜き言葉(もともとは方言であった)
受け身・尊敬・自発・可能(→これだけ)
長野オリンピックで出て来る人が全員ら抜き言葉だったので
「きちんとして日本語を」を指摘する人がいた。

しかし、東北・北海道ではら抜きは方言になっているので、
本人は気にしていない。

・トカ弁
「今日、図書館とか行かない?」

・半疑問形

言語というのは自分中心に考える。
劇作家としては「ら抜き言葉」も考えないといけない。
女子高生が「ら抜き」を使わないと雰囲気が合わない。

「ら抜き」がいけないという理由も根拠も無い。
しかし「美」の要素から観れば保守的に考える。
トカ弁も日本的、天野祐吉さんが「返事を要求しているのでは?」と全否定
いつもなら若者より文化を肯定する天野さんも

・女性の上司VS男性の部下
・若い女性の看護師VS中高年の男性入院患者
女性→男性への命令語が母親しかないため、
そのような口調になる。

「これコピーとっとけよ」 「これコピーとっていて頂戴よ」
「これコピーとって」 「これコピーとってください」
男女間の差別に 変わらないといけないのは(・・現市長?)権力をもっている中年男性

1960年代の「ね・さ・よ」廃止運動
→人間関係を壊す言葉 福岡では「ね・はい」運動が、
福岡では返事に対して「うん」と答えるのが普通だった。

これでは集団就職の時に怒られるので、「はい」に。
また語尾の「たい」「ばい」は「ね」に変えるような運動が起こった。
左門豊作の「ですたい」は福岡弁として有り得ない。

巨人の星のヒットにより悲劇的な方言の拡がりをした
地方から大都市に出てきて働くという意味では
九州の方が言葉使いに関しては切実問題に。

ここで福岡から東京に転校した生徒は、
「ね」を使うことを教えられ 東京で「ね」を使ったら、
先生に廊下に立たさせるという悲劇が起こる。

岡山出身の言語学者は、東京に出てきて「ね」を使いだし
「●●はオカマだ」と言われた。
語尾に、岡山は「の」大阪は「な」東京は「ね」を用いる。
一定程度の「ね」を使うと大丈夫だが、
「ね」を頻度を高く使うと違和感を感じる。

同じ言語でありながら違うコンテクストであるのが日本語
女性のよく使う言葉で、
東日本で主に使われるということから

語尾に「ね」を使うと誤解を生む。
社会進出をした女性が意識的に「ね」と「よ」を使わなくなった。
→しかし使わないと表現が硬くなる、キツくなる。

調整するために「半疑問形」を使い始めたという説
若者言葉ではなく、キャリアウーマンが使っていた。

天野祐吉さんは、おそらく若者言葉に対しては理解がある。
しかし、自分の信頼している女性に「半疑問形」を使われると違和感を感じ
逆にショックを受けたのではないか?

話し言葉のカテゴリー

左から意識的になる
演説→スピーチ→教授→対論→対話→会話→独り言
(無意識的) 対話と会話の違いが重要。ダイヤログとカンバセーション。

会話:親しい人とのおしゃべり
対話:価値観の違う人との意識を合わせる会話

家族の場合「お父さんの仕事は何?」と聞かない。
忠臣蔵の場合、よく知っている同士でも対話は起こる。
忠臣蔵→サラリーマン化しているので会話も対話に変わる

ジェンダー論では対話を作るために他人を登場させる。
大阪に来て困るのが主語もなしに「勝ちましたね!」といわれる、
本来なら「何がだよ!」と思うところだが、それだけで通じる

自分でも思ってもみなかった価値観が出てくると、対話の構造が生まれる。
→だから忠臣蔵は300年も残っている、
唯一近代的な要素があるため

リア王の3人娘は本当はそんなに悪い人じゃないと思う。
悪いのは生前贈与をする言い出すリア王の方

それはまで、父親好きで平和的な姉妹だったのが、
生前贈与によって隠れていた欲望がむき出しになったためあの事態に
そうした自分でも思ってもみなかった価値観が出てきて対話が起こる。

日本は島国だったので対話がなかった。

「対話」説明しあう文化
「会話」分かり合う、察しあう文化 「国風文化」では言語にインパクトを与えるような変化がなかった。
日本語というのは変わった言語、1億人以上が使っていながら
言語の線が国境線と同一なのが特徴

英語などの大言語は国境を超えても通じるが、日本語は孤独。
稲作はムラ全体で作業をしないと収穫できなかった。
そのため強固な村落集合体が作られライフスタイルや価値観が似てくる
文化に違いが無いので優劣が起こらない。
日本の文化である「俳句」は17文字で分かり合うハイコンテクストな文化
残念ながらそれは世界に出て行くと少数派になる。

それで卑屈になる必要はないが、自覚は必要。
文化は輸出できるが、文明は輸出できない。
多民族でないと文明は出来ないので。
洋服には合理性があるが、着物には合理性はない。
しかし素晴らしさはある。

ナイフやフォーク、ジーンズ→文明。しかし味気がない。
残念ながら日本は最大の中堅国家である。
それがゆえ、「文明を輸出出来るのでは?」と勘違いしてしまう(日本とドイツ)

面積が地位差から収奪するしかなくなり、錯覚して外へ乗り出してしまう。
少数派の強みはある、フランスで仕事ができるのも
日本の文化を持っているから、誰も持っていないものを持っている。

必要なのはそれをどうやって多数派に説明できるか。
そのために対話の能力をつけさせる。
→対話の言葉を作らないといけない。

日本では英仏の教科書を10年で日本語化した。
モロッコでは授業はフランス語で行われ、使う言語で階級が分かる。
言語は常に権力性をもつもの。

日本は言語の近代化をだいたい30年で行った。
夏目漱石、森鴎外などは新聞記者出身で当時新聞記者の地位が低かった。
子供には音読などで読み聞かせていた。

言語は社会の制度には追いつけない、先に女性の進出がすすんだので 追いつくまでのあと20から30年はかかる。
異文化・年代差よりジェンダー間の言葉が変わる。
言語には「美」がつきまとう。しかし高校生では逆転している場合もある。

女子高生が男言葉を使用したり。 こういう異文化の虚しさは耐えるしかない。
権力を持っている側は早く権力を放棄する・・。
言語の冗長率が高いのは? 内容の差は別として言語学文体語的には会話が一番冗長率が少ない。

演説・スピーチも冗長率が少ない方がいいスピーチとされる。
対話はすり合わせに時間がかかるので、冗長率は高い。
日本の教育は冗長率を少なくする方向になっている。

冗長率を上手に操作できる人が会話の上手い人。
NHK7時、9時のニュースより、 報道ステーションの方が冗長率が高い。
無駄な要素を適度にはさめることの教育が必要。

教師が一方的に教えるということには限界があるので、
それに演劇とかが使えるのではないか?

俳優の上手い下手は、無駄が適度に入っている人が上手く見える。
無駄な動きを「マイクロスリップ」というが、 緊張で動きがその動きが多くなり違和感を感じる。
練習をすればするほど、動作が上手くなりマイクロスリップが減ってくる。
このマイクロスリップを何度練習しても適度に出せる人がいる その人が演技の上手い人と評価される。

研究として同時多発で少しマイクロスリップが減ることがわかる
ロボットの分野でも怖がられないロボットの研究が求められている。
工業的にはしっかりつかむなどの動作が必要だが、それではそのロボット自体
無駄な動きを減らす方向になるので怖がられてしまう。

その点は俳優と似ている。
ロボットというのは、平均値では無駄を出せることはできるが、
ランダムな無駄を出せない→認知言語学
この研究に私を読んできた鷲田清一学長はえらい。

もう自身でロボットの波形をプログラム出来、ログも残る。
ニートのロボットの話を作ったときに、人間の認知できるのは0.05秒くらい 実際には1/100秒まで操作できる。
どの間で人に伝わるか大規模な調査を行った。 圧倒的な制度で計測を行った。

これで自閉症の人や失語症の人にどの程度の効果があるのか分かれば リハビリに役立てるのではないか?
スポーツも科学的になり、選手生命が伸びている。 使い方さいえ間違わなければこの学問も多くの人に役立つ。
今回の本は、1週目のランキングで勝間和代の「やせる」に負けた。

インタビューに来た編集者に聞くと、「上司に見せたいが、渡しにくい」と。

(質疑応答)

Q.言語に関する基礎体力をいかに付けるか?中年委は難しい?

A  個人の能力も大事だが難しい。
デザインの方をしっかりしてみんなが意見を言いやすい環境を作る方がいいのでは?
伊丹市のモデル事業にて「ことば課」というものがある
学校の授業で国語と別に「はなし言葉」の授業を週2時間やっている。

これが成果を上げていて、学級崩壊がゼロに 学校に来てまで外でゴロゴロするような子は、絶対何かを表現したい。
言葉は大きなウェイトを占め、そこをちゃんとすると キレにくい社会になっていく。
語彙より伝わった時の楽しさみたいものをたくさん感じるもらうように。

Q.「分かるように言え」と「言わなくても分かれ」というダブルバインドに悩んでいる

A. この本にも書いているが解決法は示していない。「こうなってますよ」を示している
しかし、自分が何に苦しんでいるのかが分かったというのが読者の多くの意見に。
喜びを多くして苦しみを減らしていくしかない、魔法みたいなことはない。

Q.外国語の勉強に虚しさを感じる。言語を学ぶ楽しさは?

A. 僕も嫌いです、英語はできないので通訳を頼んでいる。
韓国語は少し出来ます、文体が近いので習得が早く圧倒的な優等生になれる。

「英語だから出来ない」と思うようになってさらにできなくなった。
語学は必要な時なれば覚えるようになります。

Q. 議論やブレストで、お互いの意見で解決というが、
通じないし話が打消されてしまう、意見を言うだけでマイナスに作用してしまう。

A. 時間をかけて共有できなければ、共有できる部分を広げる、
悲観的な意見を言えば「無理です」になってしまう。
弱者からのアプローチは無駄になる可能性が高いので、逃げた方がいい。
時間があるのなら共有しやすい別のことをする。

アメリカの企業ではプロジェクトを始める際にバーベキューをする。
議論の問題として本当にそれは1つのことを話ているのか?
大体の場合はいくつかのトピックが入っている。

ポイントとしては、自分のこだわりと相手のこだわりが違う場合のがあるので
それを知ることが相手のこだわりを通し、自分のこだわりを通してもらうことで 通る場合がある。
4,5個回答を出していろいろとやってみる。その無駄が大事。
(了)

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